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医療現場が抱える問題点とその解決策も紹介

看護師の人手不足の原因とは|
医療現場が抱える問題点とその解決策も紹介

公開日:2022/06/23   更新日:2024/06/12

看護師の人手不足の原因とは|医療現場が抱える問題点とその解決策も紹介

看護師の人手不足は深刻であり、業務量の多さや拘束時間の長さから「辞めたい」と考える人も少なくありません。看護師不足の原因は、過酷な勤務体制や充実していない福利厚生、過剰な仕事量にあります。そんな医療の業界で看護師が業務に集中し、高いパフォーマンスを維持するためにも、無駄な作業を省略することが大切です。

この記事では、看護業界の人手不足の現状や問題点を紹介するとともに、看護師の業務効率を高めるための対策やサービスを紹介します。

1. 看護師の人手不足の現状・問題点

看護師の人手不足による影響・問題点

日本の医療における看護師の不足は慢性的な課題となっており、現在でも解決できているとはいえません。

1992年に「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が制定され、厚生労働大臣・文部科学大臣には「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」を定めることが義務付けられました。

その基本指針によって就業している看護師等の数は1990年の84万人から、2020年には173.4万人人に増加するなど成果をあげています。※

反面、2025年以降、就業者(現役世代)が急減するとともに、高齢化の進行が進むことで、看護職員不足が見込まれています。

※厚生労働省:第2回看護師等確保基本指針検討部会(令和5年7月7日 )参考資料2
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001118192.pdf

病院・クリニック・介護老人保健施設など、医療介護の領域別の看護職員の求人倍率を比較すると、訪問看護ステーションの求人倍率が最も高く、訪問看護の業界での人材確保に大きな課題があると言えます。

2. なぜ看護師は人手不足になっているのか?その原因とは

なぜ看護師は人手不足になっているのか?その原因とは

毎年約6万人もの看護師国家試験合格者を出しながら、なぜ看護師は不足し続けているのでしょうか。看護師が不足する背景には次のようなことが考えられます。

  • 看護需要の拡大
  • 輪番などの不規則な勤務形態
  • 業務量の多さと責任の重さ
  • 離職率の高さ

看護需要の拡大

団塊の世代が後期高齢者となる2025年が迫る中、看護師の需要がますます拡大し、供給が追いついていないのが現状です。介護、福祉、医療分野全体の従業員数が不足している場合もあるため、看護師が従事する業務範囲や求められる役割が大幅に広がっているのです。

2022年の訪問看護利用者数は要支援、要介護合わせて約69万人で、年々増加しています※。同時に訪問看護ステーションの事業所も増加しており、看護師の需要もこれに比例しているのです。また、介護施設では、バイタルチェックといった要介護者の生命に近い管理業務などの重要な役割を担うため、担い手の技量も求められます。

また、地域の保健センターでは保健サービスや健康相談などを引き受けています。地域医療が充実し、豊かになるほど看護師の需要も増えるのです。

※厚生労働省:社会保障審議会介護給付費分科会(第220回) 資料3令和5年7月24日
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001123919.pdf

交替制勤務などの不規則な勤務形態

輪番制の夜間勤務やオンコールによる呼び出しなど、看護業界では不規則な生活を強いられることが多くなります。小さい子供がいる看護師は夜間勤務することが難しい場合もあるため、時短勤務や日勤を優先できる勤務体制でないと仕事がなかなか続けられません。

また、日勤を優先する看護師が増える代わりに夜勤を担当する看護師も職場内で固定化されることから、看護師によっては勤務体制が負担となる可能性があります。看護師不足がさらなる看護師不足を招くような悪循環となっているのが現状でしょう。

日本看護協会も交代制勤務に関するガイドラインを発表しており、現場での看護師に対するリスクマネジメントの重要性を説くほど事態は悪化しています。看護師側でできることには限界があるため、病院経営側で拘束時間や夜勤回数に制限をかけ、看護師ごとのメンタルヘルスを確保することが重要です。また、ガイドラインに則って勤務形態を最適化することが大切になるでしょう。

業務量の多さと責任の重さ

看護師は、業務量の多さや責任の重さも問題点となっています。基本的に、正看護師は准看護師のフォローをしなければいけません。准看護師は正看護師と違い、自らの判断で行動することが許されていないためです。その結果、准看護師のフォローというタスクが正看護師の業務量を増やしてしまいがちになります。特に看護処置レベルやコミュニケーションレベルなどが高い人ほど仕事量が増えるでしょう。

また、看護師資格を持つ者にしかできない仕事以外も業務としてやらざるを得ないケースがあります。特に夜間勤務においては不足する他職種のカバーも看護師が行います。例えば、電話対応、受付業務、会計、事務手続きなど、本来の看護師業務とはかけ離れた業務も看護師の仕事となっているのが現状です。

看護師業界では、新卒よりも中堅の離職率が高いのが特徴です。キャリアの浅い看護師が意図せず重要なポジションを任せられるというケースもあるため、キャリアにそぐわない重い責任を背負うような精神的負担もあります。

3. 看護師の人手不足解消のための対策・解決策

看護師の人手不足解消のための対策・解決策

不足している看護師の人材確保には、賃金の引き上げが対策の一つとなります。「看護師のお仕事」に関するアンケート調査では、看護師が働きやすくなるための対策として「給与の引き上げ」の回答がトップです。労働の対価が見合わなければ、モチベーションとともに、看護の質も低下するおそれがあります。

「休日の取りやすさ」を求めている人も多く、福利厚生制度の見直しも必要です。勤務時間の柔軟な対応や、有給休暇の取りやすさなど改善できる点は多々あるはずです。

福利厚生が充実すれば復職を望む人が増加する可能性もあります。潜在看護師は約71万いるため、病院側で復職支援が整えられれば、復帰を望む潜在看護師も復職しやすいです。

また、新人看護師が重要ポストに就かざるを得ないような状況を回避すべく、研修や訓練などの教育にも力を入れる必要があります。さらに、デジタル化や機械化を推進することで、業務効率化を図ることも大切です。

4.医療や介護の現場でデジタルを活用した業務効率化とは?

医療現場でのデジタル技術の活用は、業務効率の向上、コスト削減、患者ケアの質の改善が期待できます。特に、業務効率を向上させることで看護師1人当たりの業務負荷が減少しますので、看護師の人手不足を解消する手段の一つです。

医療現場におけるデジタル技術の効果的な活用方法をいくつかご紹介します。

電子カルテの導入

患者の受診記録をデジタル化することで、情報へのアクセスが容易になり、情報の正確性が向上します。医療提供者間での情報共有もスムーズになり、治療の連携が改善されます。

遠隔医療技術(テレメディシン)の実施

ビデオ会議システムを用いた診察や、スマートフォンやタブレットを使用した健康管理アプリ(モバイルヘルスアプリケーション)の活用により、地方やアクセスが困難な地域の患者に対して、専門的な医療サービスを提供できるようになります。

遠隔医療技術の導入は、医療アクセスの向上、コスト削減、効率的な資源利用など、多くの利点をもたらしています。また、COVID-19パンデミックにおいては、感染リスクを抑える手段としてその重要性が一層高まりました。これにより、今後も遠隔医療の普及と技術革新が加速することが期待されています。

定型業務の自動化

電話の受付、スケジューリング、請求書処理、在庫管理など、日常的に発生する定型作業や事務作業を自動化することは業務効率の向上が期待でき、医療スタッフが患者ケアにより多くの時間を割くことができます。ビッグデータを活用したデータ分析も、治療成績の評価、流行病の監視、リソースの最適な配置などを行うことができます。これにより、施設全体の業務効率が向上します。

これらのデジタル技術は、医療業界における革新的な変化を推進しており、継続的な改善と技術の進化が期待されます。それにより、より効率的でアクセスしやすい医療サービスが実現しています。

5.電話転送で実現する訪問看護などの業務の負担軽減

電話転送で実現する訪問看護などの業務の負担軽減

前述の「デジタルを活用した医療・看護領域での業務効率化」の中でも特に始めやすいのが、定型業務の自動化です。

複数の医療機関を結ぶような大規模なシステムを導入することなく、インターネット上で完結するクラウドサービスの契約で実現できることが多くあります。

事務作業の代表例として電話対応が挙げられますが、訪問看護や訪問介護においては必要不可欠な業務です。しかし、輪番制で連絡先が変わる際、電話の転送設定を都度変更するのはストレスの一因となっています。

株式会社ワイドテックが提供しているサービス「転送録」は、緊急連絡やオンコール対応に役立つ様々なサービスがあります。

「転送録」でできること(例)訪問看護ステーションのオンコール

  • スケジュール機能(オプション)活用で、スタッフのシフトに合わせてスケジュールを自動変更
  • 発信者通知で患者様名のダブルチェック
  • 症状・時刻・電話番号などのお客様情報ヒアリングに、通話録音機能を活用

医療や介護、看護業界のお客様に活用される「転送録」とは?

「転送録」とは、インターネット回線を利用したクラウド型の転送サービスのことです。電話転送を便利にするいくつかのサービスで構成されています。特に、以下にご紹介するサービスは医療や介護、看護業界のお客様に数多く導入されています。

●サービス例「順次転送
着信専用回線への着信を複数の電話番号へ、優先順位に従い順次転送を行うサービスです。 緊急時の電話や営業につながる問い合わせなど、「絶対に出なくてはいけない電話」が優先度順に複数名に転送されるため、オンコールなどの大切な電話の取りこぼしを防止し、確実な電話対応が実現します。

※複数の番号へ「一斉に(同時に)」電話転送を行うサービス「一斉呼出転送」もあります。


●サービス例「転送先増設
ボイスワープ(NTT東/西日本)等、電話転送サービスの転送先件数を10件、20件…と増設するサービスです。

ボイスワープ等各キャリアの電話転送サービスでは、最大5件までの転送先しか登録できず、電話当番を曜日ごとにローテーションするなどの自由度が低いですが、転送先増設では転送先を10件まで間接的に増やすことができます(11件以上はオプション)。転送先の件数が増えることで、対応の柔軟性が向上し、様々な状況やニーズに対応できるようになります。


●サービス例「電話転送切替
NTTボイスワープ等の電話転送設定の切替操作を自動化・スケジュール化します。
手動による転送処理を自動で行なうため業務の効率化が図れ、設定忘れのミスを未然に防ぎます。

さらに、曜日・時間ごとのスケジューリング機能が優秀で、あらかじめシフト表に応じた転送先を予約しておくと、自動転送処理をスケジュールに合わせて自動で実行できます。また、複数の回線で着信がある際は履歴に残るため、オンコールの見逃しがありません。

携帯・スマホ端末の持ち回り問題から解放

また、医療や看護、介護業界のお客様からご好評いただく声に「社用端末の持ち回り問題から解放された」というものがあります。

多くの医院・クリニック・事業所では、看護師やスタッフの人数に対して携帯電話やスマートフォンの台数が足りていません。そんな中で前の当番が間違えて端末を持って帰ってしまうことも多々あり、「端末の持ち回り漏れ」が問題となります。

転送録は、電話の転送先をプライベート端末(従業員やスタッフの私物の携帯やスマートフォン)に設定できるため、社用端末の持ち回りを考えなくて済みます。従業員が増えても、新しく社用端末を購入する必要がありませんので、社用端末にかかるコストも削減できます。

医療現場で看護師の負担を緩和できた活用事例

「転送録」を利用し、看護師業務の負担を緩和できた事例を紹介します。24時間体制の訪問診療、緩和ケアを行っている「医療法人社団爽秋会様」では、転送録の転送先増設サービスを利用した結果、多忙を極める朝の看護師業務の緩和を実現しました。

看護師は夜間と土日祝日も患者様からの緊急電話に対応しており、従来までは毎朝忙しい時間に手動で転送先の設定をしていました。改善を望んだ点としては、ボイスワープの切り替え設定の手間をなくすこと、転送リストの登録数を増やして利便性を高めることです。

「転送録」の利用によって輪番の看護師に自動で切り替えてくれるスケジュール機能や、通話対応中にも着信履歴を残せる機能を活用できるようになりました。その結果、分刻みで時間に追われる看護師のストレスを軽減するとともに、業務の負担を減らし、診療や看護の質を下げずに業務効率化を実現できたのです。

6. まとめ

日本の少子高齢化社会によって看護師の人手不足は深刻化しています。

看護師の人材確保には、様々な方法や考え方がありますが、その中でもデジタル化や機械化によって業務効率化を図ることは今すぐにでも着手できる対策です。

電話転送を自動化できる「転送録」もその一つです。
電話にまつわる定型業務を自動化するなど、看護師の負担を減らし、業務の効率化が期待できます。人手不足の解消方法の一つとして、「転送録」の導入をぜひご検討ください。



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