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医療現場が抱える問題点とその解決策も紹介

看護師の人手不足の原因とは|
医療現場が抱える問題点とその解決策も紹介

公開日:2022/06/23   更新日:2022/06/23

看護師の人手不足の原因とは|医療現場が抱える問題点とその解決策も紹介

看護師の人手不足は深刻であり、業務量の多さや拘束時間の長さから「辞めたい」と考える人も少なくありません。看護師不足の原因は、過酷な勤務体制や充実していない福利厚生、過剰な仕事量にあります。在宅ワークが推進されるなか、医療現場は在宅、リモートといった言葉とは縁遠い存在といえます。そんな医療の業界で看護師が業務に集中し、高いパフォーマンスを維持するためにも、無駄な作業を省略することが大切です。

この記事では、看護業界の人手不足の現状や問題点を紹介するとともに、看護師の業務効率を高めるための対策やサービスを紹介します。

1. 看護師の人手不足による影響・問題点

看護師の人手不足による影響・問題点

日本の医療における看護師の不足は慢性的な課題となっており、現在でも解決できているとはいえません。イギリスでは1病床に2人の看護師が担当している一方で、日本では100病床あたりわずか38人で担当しており、看護師1人あたり2病床以上を担当しなければならないのが現状です。

厚生労働省のデータによると、2016年末の看護師数は約166万人です。毎年3万人ずつ看護就業者が増えたとしても、2025年には3万人~13万人の看護師が不足するという試算が出ています。

また、病院における看護師の割合は35%となっており、医師を含めた医療従事者の中でも多いです。それゆえに看護師が不足することで、医療体制そのものがもろくなることが心配されます。今後の訪問看護や介護医療を支えるためにも、看護師の人数を確保することは必須です。

2. なぜ看護師は人手不足になっているのか?その原因とは

なぜ看護師は人手不足になっているのか?その原因とは

毎年約6万人もの看護師国家試験合格者を出しながら、なぜ看護師は不足し続けているのでしょうか。看護師が不足する背景には次のようなことが考えられます。

  • 看護需要の拡大
  • 輪番などの不規則な勤務形態
  • 業務量の多さと責任の重さ
  • 離職率の高さ

看護需要の拡大

団塊の世代が後期高齢者となる2025年が迫る中、看護師の需要がますます拡大し、供給が追いついていないのが現状です。介護、福祉、医療分野全体の従業員数が不足している場合もあるため、看護師が従事する業務範囲や求められる役割が大幅に広がっているのです。

訪問看護ステーションの利用者は年々増え、2017年には22万人を超えています。同時に訪問看護ステーションの事業所も増加しており、看護師の需要もこれに比例しているのです。また、介護施設では、バイタルチェックといった要介護者の生命に近い管理業務などの重要な役割を担うため、担い手の技量も求められます。

また、地域の保健センターでは保健サービスや健康相談などを引き受けています。地域医療が充実し、豊かになるほど看護師の需要も増えるのです。

交替制勤務などの不規則な勤務形態

輪番制の夜間勤務やオンコールによる呼び出しなど、看護業界では不規則な生活を強いられることが多くなります。小さい子供がいる看護師は夜間勤務することが難しい場合もあるため、時短勤務や日勤を優先できる勤務体制でないと仕事がなかなか続けられません。

また、日勤を優先する看護師が増える代わりに夜勤を担当する看護師も職場内で固定化されることから、看護師によっては勤務体制が負担となる可能性があります。看護師不足がさらなる看護師不足を招くような悪循環となっているのが現状でしょう。

日本看護協会も交代制勤務に関するガイドラインを発表しており、現場での看護師に対するリスクマネジメントの重要性を説くほど事態は悪化しています。看護師側でできることには限界があるため、病院経営側で拘束時間や夜勤回数に制限をかけ、看護師ごとのメンタルヘルスを確保することが重要です。また、ガイドラインに則って勤務形態を最適化することが大切になるでしょう。

業務量の多さと責任の重さ

看護師は、業務量の多さや責任の重さも問題点となっています。基本的に、正看護師は准看護師のフォローをしなければいけません。准看護師は正看護師と違い、自らの判断で行動することが許されていないためです。その結果、准看護師のフォローというタスクが正看護師の業務量を増やしてしまいがちになります。特に看護処置レベルやコミュニケーションレベルなどが高い人ほど仕事量が増えるでしょう。

また、看護師資格を持つ者にしかできない仕事以外も業務としてやらざるを得ないケースがあります。特に夜間勤務においては不足する他職種のカバーも看護師が行います。例えば、電話対応、受付業務、会計、事務手続きなど、本来の看護師業務とはかけ離れた業務も看護師の仕事となっているのが現状です。

看護師業界では、新卒よりも中堅の離職率が高いのが特徴です。キャリアの浅い看護師が意図せず重要なポジションを任せられるというケースもあるため、キャリアにそぐわない重い責任を背負うような精神的負担もあります。

離職率の高さ

看護師の離職率は約11%です。日本全体の離職率の平均が約4%であることを鑑みると高い数値といえるでしょう。その原因としては、仕事のきつさだけでなく「病院の風土が古く、働き方改革が遅れている」といった点が挙げられます。

看護師は9割が女性であるため、一定の割合で妊娠・出産というライフイベントが発生します。その際、病院の福利厚生が整っていないと、本人の意思にかかわらず、仕事を辞めざるを得ない状況となります。時短勤務や平日休みなどが取りにくい環境であれば、ワークライフバランスの両立ができずに離職する場合もあるでしょう。

また、職場によっては同じ女性でありながらライフイベントに理解がない上司がいる場合もあるため、人間関係が悪化して離職に追い込まれるケースもあります。

このように、病院の体制の古さと、看護師間の考え方の相違が離職率の高さに影響していると考えられます。

3. 看護師の人手不足解消のための対策・解決策

看護師の人手不足解消のための対策・解決策

不足している看護師の人材確保には、賃金の引き上げが対策の一つとなります。「看護師のお仕事」に関するアンケート調査では、看護師が働きやすくなるための対策として「給与の引き上げ」の回答がトップです。労働の対価が見合わなければ、モチベーションとともに、看護の質も低下するおそれがあります。

「休日の取りやすさ」を求めている人も多く、福利厚生制度の見直しも必要です。勤務時間の柔軟な対応や、有給休暇の取りやすさなど改善できる点は多々あるはずです。

福利厚生が充実すれば復職を望む人が増加する可能性もあります。潜在看護師は約71万いるため、病院側で復職支援が整えられれば、復帰を望む潜在看護師も復職しやすいです。

また、新人看護師が重要ポストに就かざるを得ないような状況を回避すべく、研修や訓練などの教育にも力を入れる必要があります。さらに、電話転送を自動化したり、電子カルテを導入したりするなどデジタル化や機械化を推進することで、業務効率化を図ることも大切です。

4.「転送録」なら訪問看護などの業務の負担軽減!?

「転送録」なら訪問看護などの業務の負担軽減!?

看護師が本来行うべき業務に集中するためには、事務作業に労力を費やすのを避ける必要があります。事務作業の代表例として電話対応が挙げられますが、訪問看護や訪問介護においては必要不可欠な業務です。しかし、輪番制で連絡先が変わる際、電話の転送設定を都度変更するのはストレスの一因となっています。

株式会社ワイドテックが提供しているサービス「転送録」は電話転送を自動化できることから、日々の設定ストレスから解放されるとともに、設定漏れによる緊急連絡やオンコール対応の遅延のリスクも回避できます。

「転送録」でできること

「転送録」とは、インターネット回線を利用したクラウド型の転送サービスのことです。従来のボイスワープでは転送リストの制限や設定の手間など使いにくさがある一方で、「転送録」では転送の利便性を最大限に高めた利用ができます。

特徴として、WEB上での一括管理が可能であることや、転送リストを増設し、順次転送一斉呼出転送にも対応していることなどが挙げられます。クラウド管理となるため、端末と共有すればどの端末からもログインを可能にし、設定の変更が容易にできます。

さらに、曜日・時間ごとのスケジューリング機能が優秀で、あらかじめシフト表に応じた転送先を予約しておくと、自動転送処理をスケジュールに合わせて自動で実行できます。また、複数の回線で着信がある際は履歴に残るため、オンコールの見逃しがありません。

このように、「転送録」は、看護師の負担軽減や業務の効率化を図るために最適なツールといえます。

医療現場で看護師の負担を緩和できた活用事例

「転送録」を利用し、看護師業務の負担を緩和できた事例を紹介します。24時間体制の訪問診療、緩和ケアを行っている「医療法人社団爽秋会様」では、転送録の転送先増設サービスを利用した結果、多忙を極める朝の看護師業務の緩和を実現しました。

看護師は夜間と土日祝日も患者様からの緊急電話に対応しており、従来までは毎朝忙しい時間に手動で転送先の設定をしていました。改善を望んだ点としては、ボイスワープの切り替え設定の手間をなくすこと、転送リストの登録数を増やして利便性を高めることです。

「転送録」の利用によって輪番の看護師に自動で切り替えてくれるスケジュール機能や、通話対応中にも着信履歴を残せる機能を活用できるようになりました。その結果、分刻みで時間に追われる看護師のストレスを軽減するとともに、業務の負担を減らし、診療や看護の質を下げずに業務効率化を実現できたのです。

5. まとめ

日本の少子高齢化社会によって看護師の人手不足は深刻化しています。日々の不規則な生活や過度な業務量に対し、賃金が見合っていないのが看護業界の現状でしょう。

看護師の人材確保には、給与の引き上げや福利厚生を充実させて離職率を低下させ、復職を支援することが大切です。また、デジタル化や機械化によって業務効率化を図ることも対策となります。

電話転送を自動化できる「転送録」では、毎日のボイスワープの切り替え設定を自動で行うるため、煩わしい作業が減り、看護師が本来の業務に集中できるようになります。看護師の負担を減らし、業務の効率化を図るためにも、「転送録」の導入を検討されてはいかがでしょうか。