災害対応」カテゴリーアーカイブ


TOP > コラム > 役所での「電話が繋がらない」をなくすには|
電話対応における問題と対策

役所での「電話が繋がらない」をなくすには|
電話対応における問題と対策

公開日:2022/12/21   更新日:2023/06/19

役所での「電話が繋がらない」をなくすには|電話対応における問題と対策

近年の新型コロナウィルスへの対応をはじめとして、自治体や行政機関へ市民から直接問い合わせが行われるケースが増加しています。一方で、政府主導の働き方改革や財政面からの人員削減の方針等、役所等で勤務する人的リソースには限りがあります。とはいえ、市民生活に直結する行政サービスを滞りなく実施し、働く人々の業務改善を実現するためには、住民からの問い合わせに対する効率的な対応が求められます。

この記事では、役所等における電話対応の現状や課題を見直し、それを解決するためのソリューションを紹介します。

1. 役所において電話対応の体制づくりが急務に

役所において電話対応の体制づくりが急務に

ニュースなどでもよく目にしたように、新型コロナウィルスの流行が拡大するたびに、役所や保健所などへの問い合わせ電話が急増し、繋がりにくくなるという事例が数多くみられました。それ以外にも、例えばマイナンバー制度への移行やコロナ禍における減免処置など、市民が直接役所に問い合わせをする必要のある要件は後を絶ちません。

一方、その対応にあたる地方公務員の数は、1994年のピーク時に比べ約48万人減少しており、行政サービスに携わる人員数はスマート化が進んでいると言えます。さらに、社会全体が働き方改革を唱えている現状では行政組織も率先してそれを実行する必要があり、令和2年度の地方公務員の時間外勤務時間は前年比年9.5時間減と、わずかながら減少傾向にあります。

このように、電話での問い合わせが増える一方、それに対応する人員・時間は減少していることから、市民へのサービス提供窓口である役所では、電話対応に関するスムースで効率的な体制づくりが急務といえます。

2. 役所における電話対応に関する問題点

役所における電話対応に関する問題点

一般市民が役所に電話で問い合わせをする理由には、戸籍関係、保険関係、税金関係、子育てへの支援、幼稚園・学校についてなど、それこそ無数にあります。また、各部署で電話番号が振り分けられているとはいえ、利用者が自身のニーズに合った部署に正確に架電してくると限りません。これらの事情を踏まえて電話対応の問題点を以下にまとめてみましょう。

  • 担当への取次ぎに時間がかかる
  • 受付時間外の対応ができない

担当への取次ぎに時間がかかる

行政サービスが多岐にわたるのは上記で述べたとおりです。それらの多種多様な問い合わせ内容を間違いのないよう市民に提供するため、組織自体が細分化されています。問い合わせの内容も市民それぞれのパーソナルな状況にあり、民間の企業に比べて難易度の高い対応が求められがちになります。また、民間企業のお昼休み時間や夕方など、利用者が増加する時間帯では窓口業務も混み合い 、架電も増えるという状況も生まれます。

結果として、担当者への取次に時間がかかり、時には「たらい回し」的な状況になることもあり市民からのクレームの元になることから、かかってきた電話の処理にかける時間を極力短縮することが望まれます。

受付時間外の対応ができない

役所は民間企業よりも終業時間等の縛りが厳格で、さらに労働時間の短縮も求められています。その結果、閉所時間を過ぎてかかって来る電話については、対応がしづらい状況にあります。利用する市民からすれば、受付時間外とはいえ、コール音だけが鳴って反応がないというのは頼りにならないという印象にも繋がりかねません。受付時間外においても、なんらかの形で利用者へ反応しておくことが大切です。

3. 役所における電話対応の課題は「転送録」で解決

役所における電話対応の課題は「転送録」で解決

行政サービスの入り口ともいえる電話対応ですが、行政機関における対応にはその難しさもありいくつかの課題が垣間見えます。単に固定電話を増やすだけでは解決できない諸問題を、電話転送サービスを導入することで解決することができます。

株式会社ワイドテックが提供しているサービス「転送録」では、以下の機能によって役所の電話対応をスムースかつ効率的に行えるよう支援するソリューションです。

「転送録」とは、インターネット回線を利用したクラウド型の電話転送サービスのことです。従来のボイスワープでは転送リストの制限や設定の手間など使いにくさがある一方で、「転送録」ではボイスワープの利用を自動化、スケジュール化することが可能で、転送の利便性を最大限に高めることができます。

転送録の主な機能

ここで紹介する「転送録」には主に以下の機能があり、それらを組み合わせての活用が可能です。

  • 電話転送切替
  • 転送先増設
  • 順次転送
  • 一斉呼出転送
  • 自動音声受付

それぞれについて、詳しくみていきましょう。

電話転送切替とは

手作業では面倒な電話転送設定を自動的に行う機能のこと。指定の日時に自動的に切れ替えを行う予約機能があり、終業時間が来ると自動的に設定されるので、手作業による設定忘れを防止、また終業時間直後の電話対応を避けることができるので、不意な残業も防ぐことができます。

転送先増設とは

ボイスワープ等のサービスでは最大5件までしか登録できない転送先を増設できるサービスです。多岐にわたる役所の業務担当の数に応じて転送先を増設することができます。

順次転送とは

着信専用回線への着信を登録している複数の番号に、登録時の優先順位に従って順次転送を行うサービスです。利用時間外などでも緊急を要するような電話への対応が可能に。

一斉呼出転送とは

着信専用回線への着信を登録している複数の番号に同時に呼び出し、転送を行います。電話相談窓口などに掛かってきた電話を、回答者がそれぞれの電話で対応することができるので、固定電話の場所にこだわる必要がありません。

自動音声受付とは

着信専用回線への着信に対して専用の音声ガイダンスを使用して自動受付するサービスです。一般的な「自動音声応答システム(IVR)」に比べて手頃な基本料金でご利用いただけます。



いずれのサービスも機器の購入が不要なクラウドサービスでの提供なので、コスト面でも非常にリーズナブルにご利用いただけます。


4. 電話転送サービス「転送録」の自治体による導入事例

電話転送サービス「転送録」の自治体による導入事例

「転送録」はすでにいくつかの自治体や教育委員会などで、活用いただいています。ここではどのような課題が、「転送録」を活用することで解決されたのかを紹介します。

事例① 静岡県健康福祉部 感染症対策局 新型コロナ対策推進課様

  • 「転送録」導入前に抱えていた課題
  • 新型コロナウィルス感染症の拡大による問い合わせ数の激増
  • 電話が繋がりにくい状況になり、職員の方の他の業務を圧迫していた
  • 相談対応センターの開設が急務だった
  • 課題解決に採用したサービス:「一斉呼出転送」

静岡県健康福祉部 感染症対策局 新型コロナ対策推進課様では、上記のような課題に直面され、とにかくスピード感を持って相談対応センターを開設する必要に迫られていました。

固定電話の増設では、時間とコストがかかってしまうのでクラウドPBXの導入を決定。そのなかで、「転送録」は稼働の実績、低コスト、利用開始までのスピード感などの優位性が高く、利用期間中の設定変更などの利便性から導入を決定されたそうです。

相談対応センターの電話番号への架電の転送履歴が簡単にダウンロードできるため、センターへの相談件数を感染拡大の先行指標として注目、今後の感染対策の検討資料としても活用されているそうです。

事例② 某市教育委員会様

  • 「転送録」導入前に抱えていた課題
  • 労働時間の短縮のため、通常勤務時間外の電話応対の改善が必要
  • 古い電話機なので、電話会社の転送設備に対応できない
  • 市民の税金を使うことになるため、費用対効果が優先事項
  • 課題解決に採用したサービス:「電話転送切替、自動音声受付」

某市の教育委員会様では、学校における「働き方改革」の取り組みとして、労働時間短縮を目指す中、平日18時以降の電話に対しては「転送録」の「自動音声受付」を利用されています。

導入している学校の電話転送切替のスケジュール登録も、教育委員会様が一括で行われているそうです。Web画面のカレンダーで転送開始と停止を登録するだけで、自動で自動音声に切り替わるのでとても便利とのお声をいただいています。

「転送録」を利用する前は、夕方以降の電話に対しても残業している教員さんがご対応されていたため、さらに時間外労働が長くなる悪循環が生じていました。現場の先生方からも「翌日の授業の準備がはかどるようになった」などの感想が届いているそうです。

5. まとめ

役所での「電話が繋がらない」をなくすには|電話対応における問題と対策

新型コロナウィルスのような、予測もしないような状況や災害時にこそ自治体や役所の役割が大きくなります。今度いつ流行が拡大し、問い合わせや相談の電話が増えるか誰にもわかりません。そんななかで、急増する電話や受付時間外の電話、緊急の電話などへの対応が迫られた場合、スピード感はもちろんのこと、税金で運用するという性質上、コスト面もシビアに考える必要があります。

「転送録」は、クラウド型の転送サービスなので機器費用が不要で低コスト、パソコンだけで設定が完了する手軽さとスピード感に優れたサービスです。いざという時のためにも、職員さんの業務軽減・働き方改革のためにも、「転送録」の導入を検討されてはいかがでしょうか。


TOP > コラム > 中小企業にも重要なBCP対策!
災害時の連絡手段としても活躍する転送電話

中小企業にも重要なBCP対策!
災害時の連絡手段としても活躍する転送電話

公開日:2020/05/22   更新日:2023/04/21
中小企業にも重要なBCP対策!災害時の連絡手段としても活躍する転送電話

※2020年5月時点の情報をもとに執筆

新型コロナウィルスの感染拡大によって緊急事態宣言が発出され、倒産が急増する中、BCP(事業継続計画)に注目が集まっています。

世界的規模の感染症や自然災害といった緊急事態下において、事業継続するために必要なBCP。中小企業がBCP対策を講じる際にはどのような点に注意すべきなのかを紹介するとともに、ひとつの有効な手段として転送電話サービスをピックアップして解説します。

1. 災害の多い日本で注目されるBCP

BCPは、災害やテロなどの有事が起こった際に、可能な限り早期に事業を復旧または継続するための対策を指します。例えば本社だけではなく複数の地域に拠点を分散するケースや、最近ではテレワークの導入もBCP対策のひとつとして注目されています。

そもそも日本は先進国の中でも地震や台風などの災害が多い国です。特に2011年の東日本大震災では関連倒産が相次ぎ、あらためてBCP対策の重要性が浮き彫りになった背景もあります。そのため、現在多くの企業が万が一の事態に備え、さまざまなBCP対策を講じています。

また、2020年には新型コロナウィルスの感染拡大もあり、従来の自然災害に加えて感染症という新たなリスクも浮き彫りになりました。あらゆる事態を想定しつつ、可能な限り事業を存続させられる組織の体制作りが重要となっています。


2. BCP対策が不十分なことで起こる問題

日本では東日本大震災を契機にBCP対策の重要性が増してきたと紹介しましたが、実際に当時の関連倒産を見てみると、2011年3月から2016年2月までの5年間で実に1,898件にのぼります。

こうした震災による甚大な被害を受け、事業継続戦略に注目する企業が増加しました。NTTデータ経営研究所がまとめた調査によると、東日本大震災の2年後にあたる2013年のBCP策定済み企業は約4割で、東日本大震災発生当時から約1.5倍増加しました。

特に、ライフラインを支える電気やガス、通信などの企業はもちろんですが、最近ではコンビニやスーパー、ドラッグストアなどの商業施設も重要な社会インフラの担い手となっています。これらの企業を中心に、もはやBCP対策は自社の事業を存続させるという目的だけではなく、社会機能を維持するために不可欠な対策と認識され始めています。

一方で、取引先や顧客といった外部との連携がBCP対策に含まれますが、企業の対策実施率は3割を切っていて、解決すべき課題といえるでしょう。

※参考
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/archives/130228/


3. 企業が抱えるBCPに対する課題

各企業のBCP対策状況を調査すると、約半数の企業において対策内容が不十分であったり、思うように進んでいなかったりといった課題認識をもっていることがわかりました。

その理由についてヒアリングしてみると、そもそもBCP対策のノウハウが不十分であることや、自社単独でのBCP対策には限界があることを挙げています。多くの中小企業では原材料を仕入れたり物流業者に依頼したりといった形で、さまざまな取引先との連携のうえで事業が成り立っています。そのため、自社単独でBCP対策を講じようとしても、そもそも限界があることがわかります。

十分なBCP対策を講じるためには、取引先など外部も含めた複数の企業が有事の際を想定した連携の手段確保や動き、手順などを協力して検討していく必要があります。

※参考
https://www.nttdata-strategy.com/newsrelease/archives/130228/


4. 新型コロナウィルス対策で注目されるBCP

新型コロナウィルスの感染拡大を防止するため、現在多くの企業ではリモートワークや営業自粛が続いています。外出自粛要請が長期化すればするほど、人々の生産活動や消費行動も鈍化し、経済的なダメージは徐々に深刻になっていくことは明らかです。

また、今回発生した新型コロナウィルスよりも致死率や感染率が高い感染症が蔓延し、国内でパンデミックが起こった場合を想定すると、さらに経済活動は停滞することが考えられます。ほとんどの従業員は出社できず、感染症による死亡などによる人的リソースの被害も想定されるでしょう。

そのような中でも、可能な限り経済を維持していくためには、出社しなくても事業運営が可能な企業はテレワークやリモートワークを推進していく必要があります。今回のような不測の事態が起こったケースを想定し準備しておくことも、BCP対策において重要な項目のひとつであると考えて良いでしょう。


5. 「転送録」ならスムーズな連携体制を確保できる

BCP対策において重要な「限られた人員による効率化」や「現場間でのスタッフ同士の連携」を解決する代替手段して「転送電話」は有効な手段のひとつです。

災害時における通信手段の確保とスムーズな連携を行うなら、ワイドテックの「転送録」がおすすめです。クラウドサービスの転送録なら、電話回線が混雑し繋がりづらい場合でも通信回線が確保できるため、不測の事態でも業務を継続させることができます。

また、転送録の「一斉呼出転送」を使えば、登録した携帯電話番号へ、同時にコールしますので、複数名でお客様の電話に対応できますし、固定電話が壊れた場合でもIP電話のため、通話が可能です。

転送録は、NTTやソフトバンク、KDDIなど各キャリアの転送サービスをご契約の回線に対して、電話転送設定の切替操作を自動化するサービスです。新たな回線を契約したり、デバイスを購入したりすることはなく、導入コストが低い点もメリットのひとつです。

このように、転送録はオフィスにおける緊急時の有効な連絡手段として活用でき、BCP対策において心強い味方になってくれるでしょう。


6. まとめ

BCP計画を策定する中で、外部との連携や従業員との連絡手段を何にすべきか悩んでいる場合は、「転送録」の導入をぜひ検討してみてください。

不測の事態に備えるためにも、BCP対策の重要性は増してきています。これまでは地震や台風といった自然災害に対する備えがメインでしたが、今回新たに感染症対策という新たな課題も突きつけられ、多くの人々のライフスタイルが一変しようとしています。

あらゆる事業は取引先など複数の企業が手を組んで展開している以上、BCP対策は企業単独でできるものではありません。今回紹介してきたように、有事を想定したうえで事業が継続できる体制をあらかじめ構築しておく必要があります。

また、通信回線が混雑して繋がりづらい中でも、従業員への連絡手段を確保しておくことも重要といえるでしょう。転送録はそのような状態であっても通信手段を確保するために有効なものです。BCP計画を策定する中で、外部との連携や従業員との連絡手段を何にすべきか悩んでいる場合は、「転送録」の導入をぜひ検討してみてください。


TOP > コラム > 横断的に企業の損失に備える、事業リスクマネジメントの手法とは?

横断的に企業の損失に備える、事業リスクマネジメントの手法とは?

公開日:2017/07/31   更新日:2022/03/28
事業リスクマネジメントの手法

近年、IT技術の進歩や情報化に伴い、企業を取り巻く環境変化はスピードを増しています。企業が直面するリスクは多様化し、リスクを適切に管理するためのリスクマネジメントが不可欠です。今回は事業リスクマネジメントの手法と、リスクマネジメントに対応した組織づくりの方法についてご紹介します。

事業リスクマネジメントとは

事業リスクマネジメントとは、将来起こりうるリスクを事前に把握し、損失を回避したり低減したりする取り組みを指します。

では企業が直面するリスクとは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
まずは大きなリスクの1つとして、情報漏えいがあります。今では業務の中でPCをインターネットに接続して使うことが当たり前になっていますが、やりとりする情報の中には顧客情報や営業秘密などの機密情報が含まれることも少なくありません。
情報漏えいによって企業イメージが失墜したり、賠償費用が発生したりすれば、企業は信頼を失い、その存続にも影響しかねません。このような事態を防ぐため、社員に情報漏えいの危険性を周知させるとともに、情報の持ち出しをさせない体制をつくりましょう。

また事業リスクには、情報漏えいのような人的ミスから発生するもの以外に、災害リスクがあります。災害による損害を低減させるため、企業の資産や顧客は可能な限り分散させ、二重・三重の情報のバックアップを行うことを定めましょう。
一度災害が起きると、企業運営が滞るだけでなく、防災対策が不十分だったために被害が拡大すれば、企業のイメージダウンにもなります。リスクマネジメントは後回しにせず、速やかに取り組むことが大切です。

リスクに備えた横断的な組織づくり

横断的な組織づくり

リスクに備えるためには社員一人一人の取り組みはもちろん大切ですが、リスクに強い組織づくりも大切です。例えば、起こりうるリスクごとに組織が取るべき行動をあらかじめマニュアル化することは有効です。想定していたリスクであれば、各社員がマニュアルに従って迅速な対応を取ることができます。
また、組織横断的なリスクマネジメントを行うため、役割分担や連絡網を作成しておきましょう。対応すべき手順と役割分担を定めることによって、誰がどのように対処すれば良いのか明確になります。

リスクの大きさは、リスク発生時の影響の大きさと発生確率の積によって求められます。全てのリスクについて対応策を考えることは困難であるため、リスクの大きさを目安に優先順位を付けると良いでしょう。

リスク発生時の連絡手段を確保する

連絡手段を確保

事業リスクマネジメントを実施する際、リスクが発生したときにステークホルダーと連絡を取るためのコミュニケーション手段の確保も考慮しなくてはなりません。例えば、不祥事が起きれば、その問題への対応で顧客や取引先とのコミュニケーションがおろそかになってしまう可能性があります。
このような事態を防ぐためにおすすめしたいのが、電話の順次転送サービスの導入です。順次転送サービスとは、複数の電話番号に優先順位を設定し、顧客や取引先から電話があった際に順番に転送するサービスです。
「転送録」の順次転送サービスは独自の音声ガイダンスと保留音を使用しているため、電話をかけてきた相手には転送していることを感じさせません。

おわりに

1,000万円の利益を生み出すことと、1,000万円の損失を回避することは同じ価値を持ちます。リスクマネジメントが適切に行われていれば、慌てることなく事業を継続、もしくは復旧させることが可能です。
企業は常にさまざまな脅威にさらされています。どのような事態においても健全な企業運営をするためにはリスクマネジメントが必要不可欠です。ぜひこれを機にリスクマネジメントに取り組んでください。


TOP > コラム > もしも地震が発生したら?企業のBCP対策の策定事項と地震対策

もしも地震が発生したら?企業のBCP対策の策定事項と地震対策

公開日:2017/06/26   更新日:2022/03/28
企業のBCP対策の策定事項

2011年の東日本大震災は私たちの生活だけではなく、企業経営にも大きな影響を与えました。そのときにあらためて重要性が認識されたのが、「BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)」です。今回はBCP対策の策定事項と地震対策についてご紹介します。

BCP対策とは

BCP対策とは、企業が自然災害やテロ攻撃、新型インフルエンザの大流行などの緊急事態に見舞われた際、災害や事故の被害を最小限に抑えながら中核事業の継続や早期復旧を実現するため、平常時に行う活動や緊急時における事業継続のための方法・手段を決めておく計画のことです。

特に地震が頻発する日本では、大規模な地震への備えが欠かせません。広範囲に強い揺れをもたらす南海トラフ巨大地震や、30年間に70%の確率で発生するマグニチュード7クラスの首都圏直下地震などが懸念されており、企業は大規模な地震を想定したBCP対策を策定する必要があります。
BCP対策を後回しにしてしまう企業もあるようですが、BCP対策を怠ることによって、自社のイメージダウンにつながったり、緊急時にライバル企業との差が開いたりする可能性があります。

【BCP対策1】生産・在庫拠点や取引先の分散化

分散化

1つの拠点に生産・在庫拠点を集約していると、その拠点で巨大地震が発生したときに事業を継続することが困難になります。したがって、BCP対策の一環として「分散化」を図ることが有効です。

ある企業は、地震を意識していたわけではありませんでしたが、在庫を分散させて管理していたため、被災後も被害を受けずに済んだ在庫を運用することによって、震災後も出荷を続けられました。
分散化は生産・在庫拠点の分散化にとどまりません。取引先企業の地域を分散化させることも、災害対策として効果を発揮します。多くの取引先が被災地外に位置していた企業では、売り上げを大幅に減少させることなく、営業を継続させることができました。

ただし、業務によっては分散化させることによって効率性にも影響するため、BCP対策を策定する際は災害対策の視点と効率性の両面から検討することが大切です。

【BCP対策2】インターネット電話を代替手段に

インターネット電話

先ほど分散化の有効性について触れましたが、事業が大きくなれば分散化にかかるコストは大きくなります。そこでより簡単で身近なBCP対策として「代替手段の確保」があります。

事業継続性を図るためには、1つの方法が途絶えても、もう一方のアプローチ方法が生きている状況を作ることが必須です。
例えば電気代の削減のために自家発電装置を導入したが、地震で停電した際にその自家発電装置が役に立ったという例があります。このような二重・三重に手段を準備しておくことを代替手段といいます。

代替手段の有効な例として、インターネット電話があります。インターネット電話は通常の電話と通信網が異なり、インターネット回線を使います。

そのため緊急時に一般的な電話のように規制がかかることがありません。実際に東日本大震災の際には、通常の電話がつながらない中でインターネット回線を用いた電話は使えたというケースもあります。 またインターネット電話は通話している両者の距離に関係ない料金設定です。そのため毎月の通信固定費を安価に抑えることが可能です。

BCPに盛り込む項目としては、分散化や代替手段の確保の他、耐震措置の実施、優先業務の特定、安否確認の方法、復旧目標の設定などがあります。

おわりに

巨大地震の発生が懸念される日本では、企業はBCP対策を早急に策定しなくてはなりません。また、BCP対策にはテロ攻撃や新型インフルエンザの大流行への対策も含まれます。東京オリンピックも近づいている中、テロに対する備えも万全にしておく必要があります。
分散化や代替手段など、企業規模や業種によって行うべき対策はさまざまですが、ぜひこの機会にBCP対策を検討することをおすすめします。


TOP > コラム > 事例で解説!BCP対策(事業継続対策)とは?

事例で解説!BCP対策(事業継続対策)とは?

公開日:2017/04/24   更新日:2023/04/26
BCP対策(事業継続対策)

企業の予期せぬトラブルや災害の際に、業務の円滑な遂行を継続させるためのBCP対策。地震リスクのある日本では、このBCP対策は欠かせない要素であり、人的な安全性や企業資産の保護を目的としています。

BCP対策とは

BCP対策とは企業が、地震、津波、大雨、大雪などの自然災害や事故、停電など、予測不可能な緊急事態に見舞われた際に取るための施策で、重要業務の被害を最小限に抑え、企業運営を滞らせないための行動指針です。トラブルによる業務の停滞は、顧客流出や企業の信頼を損なう恐れもあり、BCP対策によるリスクヘッジは企業にとって必要不可欠な取り組みとなっています。

BCP対策の意味は広く、緊急事態時に迅速に行動できる対策チームの設立や避難訓練などの人的対策から、インフラの確保、企業資源の確保なども含まれます。

「分散化」はBCP対策の第一歩

「分散化」 BCP対策の代表的な例として、「分散化」が挙げられます。
分散化は、災害時やトラブルの際に地域やインフラの影響を排除するため、業務の拠点や基幹システムを複数の地域に分散させる方法です。一部の地域で災害やトラブルに見舞われても、社内システムや在庫などの資源が他の拠点から確保でき、業務を停止させることなく企業活動を継続できた、という事例があります。

しかし、この分散化には基幹システムや分散場所の確保など、通常時でもランニングコストがかかり、トラブルや災害は発生地域・時間が予測できず、分散先の選定が難しいというデメリットもあります。

「代替手段」について

BCP対策のひとつである分散化のコストデメリットを解消するのが「代替手段」と呼ばれる方法です。

この代替手段は、トラブルや災害が発生した際に事業の継続性を守るため、重要なインフラやシステム、体系を一時的に別の方法で代替する手段です。急な停電で業務がストップしてしまわないために自家発電装置を用意しておくことで企業活動を継続できた事例があります。このように、もともとのインフラやシステムをいくつも持つのではなく、一時的なトラブルに対応できる手段を用意しておくことで、不測の事態でも業務を継続させることができます。 この代替手段では、代替設備の初期投資がかかりますが、分散化にかかる二重コストを抑えることができます。

通信インフラを守る転送電話

通信インフラを守る転送電話 転送電話は、有効的な代替手段のひとつです。 通常の電話は、緊急時につながりにくくなります。 これは、各通信キャリアが緊急電話の通信を守るため、一般の通信回線には制限をかけるためです。 また、災害などによって基地局が機能しなくなった場合、基地局が復旧するまでその地域での電話は使えなくなってしまいます。 このような通信インフラのリスクヘッジのひとつとして、転送電話が活躍します。

インターネット回線を使うため、転送電話は通常の電話と通信網が異なります。 そのため、一般的な電話のような通信規制がかかることがありません。 実際に東日本大震災の際には、通常の電話がつながらない中で、Skypeなどのインターネット回線を用いた電話は使用できたという事例もあります。 加えて転送電話は、電話をしている両者の距離に関係ない料金が設定されているため、通常の電話に比べて毎月の通信料金を安価に抑えることができます。

他に、災害時などにシステムから送信されるアラートメールを受信して、担当者に電話で知らせる方法もあります。 メール通知だけでは大量に届く他のメールに埋もれてしまい、対応が後手に回ってしまう可能性がありますが、転送電話での通知なら、迅速かつ確実に業務の担当者に連絡できます。転送電話はインターネット回線を使用しているため安価です。

メールをトリガーとして電話発信する仕組みを活用するのも、業務継続に非常に有効な手段です。

おわりに

地震リスクのある日本において、企業のBCP対策は必要不可欠となっています。企業の規模によって取ることができる対策の大小は変わりますが、大切なのは緊急事態が起きた際の心構えと、迅速かつ最適な対応を取るための仕組み作りです。

BCP対策とは、決まった機器を導入することではなく、いざという時に事業を継続させるための手段をあらかじめ用意して、不測の事態に対応できるよう、組織を整えておくことが大切です。