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訪問介護サービスIT化への課題と現場ニーズ

公開日:2019/03/25   更新日:2022/03/28

人材不足が深刻化している介護業界では介護スタッフの業務を効率化し、負担を軽減するIoT機器の導入が急務と言われています。しかし、介護スタッフの中にはそうした先端機器には無縁の人も多く、事業所自体も高価な機器の導入は難しいというのが現状です。

以下で紹介する「転送録」は、緊急時に当番スタッフに電話をつなげられるうえ、スマホやタブレットで簡単に操作できます。人手不足の介護業界において低コストで導入でき、さらには介護スタッフの負担を減らすツールの一つと言えるでしょう。

1. 日本の医療・福祉サービスは世界から見て最低水準という事実

厚生労働省の雇用政策研究会が2019年1月に発表した資料によると、日本の医療や福祉サービスにおける生産性は、欧米などの先進国と比較すると、最低水準であることがわかります。


出典:産業別購買力を加味した生産性(厚生労働省) 2019年01月25日更新

こうした現状をふまえて厚生労働省では、IT技術を使ったデータヘルス改革により、生産性の向上を図る施策を推進しています。データヘルス改革とは、介護・福祉などの医療分野においてAI(人工知能)やIoTを始めとした新しい技術を導入することで、生産性を改善し、効率の良いサービスを展開する改革案です。現在注目されているIoTとは、「Internet of Things」の略で、「モノのインターネット化」のこと。ヒトと人工知能、モノとセンサーが、インターネットでつながっている技術を指します。

介護労働安定センターが2018年8月に公表した事業所の実態を問うアンケートでは、「不足」が24.4%、「やや不足」が32.6%で、66.6%が人手不足を実感しているという結果が出ています。介護現場でIoT化が進めば、慢性的な人手不足や身体的負担を軽減することが期待できます。例えばセンサーをベッドに設置することで、夜間巡回する介護職員の数を減らすことが可能です。また、介護ロボットを使用すれば、介護スタッフの身体的な負担も軽減できます。IT技術を活用することで、重労働を理由にした離職に歯止めをかけることもできるでしょう。


2. 忙しい介護職員にIT技術を習得する時間はあるのか?

介護ロボットなどのIoT機器を導入すれば、介護職員の身体的負担が軽減され、業務効率もアップするメリットがあります。その一方で現場の介護職員が、IoT機器をきちんと運用できるかどうかという別の問題があるのも事実です。

厚生労働省が発表した資料によると、現在、介護労働者として働いている人の7割は女性です。介護施設の女性職員の32%、訪問介護の女性職員の60%は50代以上※1です。総務省のデータによると、55歳から64歳の年齢層で、インターネットを使っていない人の割合は50%強※2です。パソコン操作やインターネットに慣れてない年齢層の人が多い介護現場で、最先端のIoT機器を扱う技術を習得するのは、かなりハードルが高いと言えます。また、昨今ニーズが高まっている夜間対応型の訪問介護では、少人数で運営している事業所が大半を占めます。このような小規模の訪問介護事業所では、導入コストも大きな課題の一つと言えるでしょう。
※1 出典「介護労働の現状(厚生労働省) 」
※2 出典「平成23年版 情報通信白書|共生型ネット社会の実現に向けて」


3. 夜間対応型訪問介護の課題を解決する電話転送

夜間対応型訪問介護では、介護者から緊急時に電話があった時に、それに対応するサービスを行います。夜間や祝日は、少人数のスタッフが持ち回りで対応する体制の事業所が多いようです。このような体制が常態化している中では、介護現場の業務効率アップを実現するツールの導入が急務であることが伺えます。

ただし、新しいツールを導入する場合は、機械にあまり詳しくない介護職員やスタッフがすぐに扱える「運用のしやすさ」と、「低コスト」で導入できることが大切であることを忘れてはいけません。以下でご紹介する「電話転送」は、この2つのポイントを兼ね備えているツールと言えます。

通常、事務所宛てにかかってきた電話は、持ち回りのスタッフの携帯電話に転送されます。従来のボイスワープでは、毎日当番のスタッフを登録し直す必要があり、手間がかかりました。また、持ち回りの当番が5名以上いるにもかかわらず、ボイスワープでは5件までしか転送先を設定できないという問題もありました。こうした登録リストの不足、転送先登録の手間といった問題を、「転送録」の導入により、解決した事例があります。

転送録」は、パソコンやスマホで管理画面を開けば、いつでもどこでも使用することができるクラウド型のサービスです。特別なソフトをインストールしたり、複雑なマニュアルを覚えたりする必要はありません。面倒な設定は一切不要で、一回線単位で利用できます。


4. まとめ

人材不足が叫ばれる介護現場の業務効率は、早急に改善する必要があります。しかし、最新のIT技術を介護現場のスタッフが使いこなせるかどうかという問題を避けて通ることはできません。また、少人数で運営している介護事業所では、低コストで、簡単に操作できるものが求められています。

その点、ワイドテックの「転送録」は、インターネットがつながる環境なら、スマートフォンやタブレットで簡単に操作でき、低コストで導入できます。介護スタッフの都合で当日の当番が交代になる場合も、スタッフ同士が連携して、Web上の管理画面で担当者を変更することができます。任意の数で転送先を登録できるので、スタッフの数が増えた時にも対応可能です。また、翌月のスタッフのシフトやスケジュールも事前に一度で登録することができます。

限られた時間を有効活用でき、夜間対応に従事する輪番スタッフの負担を軽減できるのは「転送録」の大きな魅力と言えるでしょう。利用者の方も、当日の担当者に電話がつながりやすいため、安心できます。介護スタッフにとっても使いやすく、また緊急時に介護者への臨機応変な対応が可能な低コストサービスの導入を、検討してみてはいかがでしょうか。