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もしも地震が発生したら?企業のBCP対策の策定事項と地震対策

公開日:2017/06/26   更新日:2022/03/28
企業のBCP対策の策定事項

2011年の東日本大震災は私たちの生活だけではなく、企業経営にも大きな影響を与えました。そのときにあらためて重要性が認識されたのが、「BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)」です。今回はBCP対策の策定事項と地震対策についてご紹介します。

BCP対策とは

BCP対策とは、企業が自然災害やテロ攻撃、新型インフルエンザの大流行などの緊急事態に見舞われた際、災害や事故の被害を最小限に抑えながら中核事業の継続や早期復旧を実現するため、平常時に行う活動や緊急時における事業継続のための方法・手段を決めておく計画のことです。

特に地震が頻発する日本では、大規模な地震への備えが欠かせません。広範囲に強い揺れをもたらす南海トラフ巨大地震や、30年間に70%の確率で発生するマグニチュード7クラスの首都圏直下地震などが懸念されており、企業は大規模な地震を想定したBCP対策を策定する必要があります。
BCP対策を後回しにしてしまう企業もあるようですが、BCP対策を怠ることによって、自社のイメージダウンにつながったり、緊急時にライバル企業との差が開いたりする可能性があります。

【BCP対策1】生産・在庫拠点や取引先の分散化

分散化

1つの拠点に生産・在庫拠点を集約していると、その拠点で巨大地震が発生したときに事業を継続することが困難になります。したがって、BCP対策の一環として「分散化」を図ることが有効です。

ある企業は、地震を意識していたわけではありませんでしたが、在庫を分散させて管理していたため、被災後も被害を受けずに済んだ在庫を運用することによって、震災後も出荷を続けられました。
分散化は生産・在庫拠点の分散化にとどまりません。取引先企業の地域を分散化させることも、災害対策として効果を発揮します。多くの取引先が被災地外に位置していた企業では、売り上げを大幅に減少させることなく、営業を継続させることができました。

ただし、業務によっては分散化させることによって効率性にも影響するため、BCP対策を策定する際は災害対策の視点と効率性の両面から検討することが大切です。

【BCP対策2】インターネット電話を代替手段に

インターネット電話

先ほど分散化の有効性について触れましたが、事業が大きくなれば分散化にかかるコストは大きくなります。そこでより簡単で身近なBCP対策として「代替手段の確保」があります。

事業継続性を図るためには、1つの方法が途絶えても、もう一方のアプローチ方法が生きている状況を作ることが必須です。
例えば電気代の削減のために自家発電装置を導入したが、地震で停電した際にその自家発電装置が役に立ったという例があります。このような二重・三重に手段を準備しておくことを代替手段といいます。

代替手段の有効な例として、インターネット電話があります。インターネット電話は通常の電話と通信網が異なり、インターネット回線を使います。

そのため緊急時に一般的な電話のように規制がかかることがありません。実際に東日本大震災の際には、通常の電話がつながらない中でインターネット回線を用いた電話は使えたというケースもあります。 またインターネット電話は通話している両者の距離に関係ない料金設定です。そのため毎月の通信固定費を安価に抑えることが可能です。

BCPに盛り込む項目としては、分散化や代替手段の確保の他、耐震措置の実施、優先業務の特定、安否確認の方法、復旧目標の設定などがあります。

おわりに

巨大地震の発生が懸念される日本では、企業はBCP対策を早急に策定しなくてはなりません。また、BCP対策にはテロ攻撃や新型インフルエンザの大流行への対策も含まれます。東京オリンピックも近づいている中、テロに対する備えも万全にしておく必要があります。
分散化や代替手段など、企業規模や業種によって行うべき対策はさまざまですが、ぜひこの機会にBCP対策を検討することをおすすめします。