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訪問看護ステーションのオンコール現場が抱える課題と解決策

公開日:2019/05/13   更新日:2022/03/28

少子高齢化が進んでいる日本では、医療需要は2025年にピークを迎えるというデータがあります。厚生労働省は2015年に、病床数を現在より16~20万床減らし、2025年までに115~119万床程度にするとの目標を示しました。この病床削減を受け、在宅医療のニーズが高まっています。在宅医療の現場で働く医師や看護師たちにはどんな課題があるのか、事例を交えて解説します。

1. 「病院から在宅へ」訪問医療拡大の背景とは

日本では、少子高齢化が急速に進んでいます。2017年の推計によると、65歳以上の高齢者人口は3,514万人で、総人口の27.7%を占めています。昭和22~24年生まれの団塊の世代が、2025年には75歳以上になり、65歳以上の高齢者が全人口の30%を超えると予想されています。

このまま首都圏などの都市部で要介護高齢者の入院が増えると、必要な病床数が足りなくなってしまいます。その一方で医療施設や介護施設は慢性的な人手不足で、ケアする担い手が不足しているのが現状です。こうした状況を打開するため、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでいます。

高齢者しかいない世帯が増加することに伴い、入院医療から在宅医療・在宅介護、そして日常生活支援のニーズが高まっています。住み慣れた地域で生活することを望む高齢者を効率よくサポートするために地域の医療機関、介護の人材が連携し合い、状況に応じた医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供されるシステムを「地域包括ケアシステム」といいます。

地域包括ケアシステムは、各市区町村の医師会等が協働して地域に住む高齢者宅や老人ホームなどの施設へ医師が看護師や訪問する仕組みです。在宅医療を提供する機関は、病院や診療所、訪問看護ステーション等さまざまですが、看護師による訪問看護と医師による訪問診療が中心です。訪問診療では、医師が診療計画を立てて、通院が困難な高齢者宅に定期的に赴きます。


2. 訪問看護ステーションとオンコール体制

地域包括ケアシステムは、健康に関わるサービスを24時間受けられるのが特徴です。その中でも、緊急時の訪問が必要とされる高齢者とかかりつけ医師とを結ぶ役割を担うのが、訪問看護ステーションです。

訪問看護ステーションでは、高齢者やその家族からの緊急電話に24時間体制で対応する「オンコール体制」を行っています。病院や施設の営業時間外である祝日や夜間は、輪番の看護師や医師が専用の携帯電話を持って待機します。容態が急変して、利用者や家族から電話がかかってきた時は、すぐに駆けつける必要があります。

利用者にとっては安心できる仕組みですが、オンコール当番の医師や看護師は、いつ呼び出されるか分からない緊張感があります。携帯電話を枕元に置き、眠っている間に電話がかかってきても応対するため、ぐっすり眠ることもままなりません。「オンコール体制」は睡眠の質も低下し、精神的にも体力的にも負担が大きいと言えるでしょう。


3. オンコール連携の現場で起きる「転送電話」の課題

往診と訪問診療のための移動で、休む時間もなく対応している医師や看護師の負担を軽減しようと、模索している医療機関もあります。例えば常勤医師とスタッフが持ち回りでオンコール対応をする等、負担を分散する工夫も必要です。医療機関の中には、最初のオンコールは訪問看護ステーションで受信し、利用者の容態によっては医師に連絡して対応しているところもあります。すべてのオンコールに医師の対応や往診が必要というわけではないので、訪問看護ステーションで看護師が対応するだけで、完結するケースもあるわけです。

オンコール体制では、医療機関と現場で働く医師や看護師との相互連携が必須ですが、連携システムの効率化に課題を抱えている医療機関は少なくありません。

各地域の訪問看護ステーションに届く利用者からの緊急コールを、最寄のエリアの医師会を経由して医師に電話転送するケースでは、訪問する医師の携帯電話には医師会の番号が着信表示されます。これではどの地域の訪問看護ステーションからの連絡か分からず、医師は迅速に折り返しの連絡をすることができません。

こうした訪問看護ステーションが抱える課題を解決した事例があります。「転送録」の「転送先増設サービス」なら、医師が往診や移動中などですぐに電話に出られなくても、発信者番号がメールで通知されるので、折り返しの連絡もスムーズに行うことができます。「転送録」は、転送電話機能の不便さを解消し、連携システムの効率化を実現することができます。


4. まとめ

訪問診療のニーズは高まる一方ですが、24時間体制で対応する診療所や訪問看護ステーションは、マンパワーの不足も懸念されます。利用者からの緊急コールに細やかに対応するためには、訪問看護ステーションと医師や看護師がスムーズに連携できるシステム構築が急務です。

クラウドサービスの「転送録」を導入することで、オンコール体制の電話転送の課題を解決することが可能です。緊急コールした時に、連絡を受けた医師や看護師が速やかに折り返し連絡することができれば、地域の患者さんやご家族も安心です。利用者にとって満足度の高い医療サービスを提供するため、電話転送の効率化を実現するシステムの導入をぜひご検討ください。