訪問看護ステーションのオンコール現場が抱える課題と解決策
少子高齢化が進む日本では、医療需要が2025年にピークを迎える見通しが立っており、厚生労働省は病床数削減を進め、在宅医療の重要性が増しています。在宅医療に従事する医師や看護師には、24時間体制の対応体制や、夜勤での緊急対応が求められ、負担が増加しています。また、こうした負担に対し、給与や待遇が不十分な場合もあり、離職の要因となることも少なくありません。
一方、効率的な電話転送システムの導入など、医療従事者の働き方を改善する仕組みの導入にはメリットが期待されます。適切なサポート体制が整えば、医師や看護師のストレスが軽減され、より安定した在宅医療が提供できるでしょう。
本コラムでは、病床削減を背景に高まる在宅医療のニーズに対して、現場で働く医師や看護師たちの課題に触れ、事例を交えながら解決策をご紹介します。
1. 「病院から在宅へ」訪問医療拡大の背景とは

日本では少子高齢化が急速に進んでおり、2017年の推計によると、65歳以上の高齢者人口は3,514万人で、総人口の27.7%を占めています。昭和22~24年生まれの団塊の世代が、2025年には75歳以上になり、65歳以上の高齢者が全人口の30%を超えると予想されています。
都市部で要介護高齢者の入院が増えると、必要な病床数が不足する懸念がある一方で、医療施設や介護施設では慢性的な人手不足が続いており、ケアを担う人材が不足しているのが現状です。こうした状況を打開するため、厚生労働省は「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでいます。
この地域包括ケアシステムは、各市区町村の医師会等が協力して、地域の高齢者宅や老人ホーム等の施設へ医師や看護師が訪問し、在宅医療を提供する仕組みです。訪問医療の事業所には病院や診療所、訪問看護ステーションなどさまざまな形態があり、看護師による訪問看護や医師による訪問診療が中心です。訪問診療では、医師が診療計画を立て、通院が困難な高齢者宅を定期的に訪問し、適切な医療を提供します。
高齢者のみの世帯が増えることに伴い、入院医療から在宅医療や在宅介護へのニーズが高まっています。この地域包括ケアシステムでは、地域の医療機関や介護事業所が連携し、住み慣れた地域で生活したいと望む高齢者を効率的にサポートします。医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されることで、高齢者の生活環境に応じたきめ細かい対応が可能になります。
このように、訪問医療拡大は地域社会全体で支える在宅医療の基盤を作り、高齢者が安心して生活できる地域づくりに重要な役割を果たしています。
2. 訪問看護ステーションとオンコール体制
地域包括ケアシステムは、健康に関わるサービスを24時間受けられるのが特徴です。その中でも、緊急時の訪問が必要とされる高齢者とかかりつけ医師とを結ぶ役割を担うのが、訪問看護ステーションです。
訪問看護ステーションでは、高齢者やその家族からの緊急電話に24時間体制で対応する「オンコール体制」を整えています。病院や施設の営業時間外である祝日や夜間は、輪番の看護師や医師が専用の携帯電話を持って待機します。容態が急変して、利用者や家族から電話がかかってきた時は、すぐに駆けつける必要があります。
利用者にとっては安心できる仕組みですが、オンコール当番の医師や看護師は、いつ呼び出されるか分からない緊張感があります。仕事中はもちろんのこと、眠っている間でも携帯電話を枕元に置き、すぐに対応できる体制を保つ必要があります。深く眠ることが難しくなるため「オンコール体制」は睡眠の質も低下し、精神的にも体力的にも負担が大きいと言えるでしょう。
3. オンコール連携の現場で起きる「転送電話」の課題
往診と訪問診療のための移動で、休む時間もなく対応している医師や看護師の負担を軽減しようと、模索している医療機関もあります。例えば常勤医師とスタッフが持ち回りでオンコール対応をする等、負担を分散する工夫も必要です。医療機関の中には、最初のオンコールは訪問看護ステーションで受信し、利用者の容態によっては医師に連絡して対応しているところもあります。すべてのオンコールに医師の対応や往診が必要というわけではないので、訪問看護ステーションで看護師が対応するだけで、完結するケースもあるわけです。
オンコール体制では、医療機関と現場で働く医師や看護師との相互連携が必須ですが、連携システムの効率化に課題を抱えている医療機関は少なくありません。
各地域の訪問看護ステーションに届く利用者からの緊急コールを、最寄のエリアの医師会を経由して医師に電話転送するケースでは、訪問する医師の携帯電話には医師会の番号が着信表示されます。これではどの地域の訪問看護ステーションからの連絡か分からず、医師は迅速に折り返しの連絡をすることができません。
こうした訪問看護ステーションが抱える課題を解決した事例があります。「転送録」の「転送先増設サービス」なら、医師が往診や移動中などですぐに電話に出られなくても、発信者番号がメールで通知されるので、折り返しの連絡もスムーズに行うことができます。
また、「転送録」の050発信機能もおすすめです。外出先でも050番号を使用して発信できるため、自分の番号が伏せられ、プライバシーが守られる安心感を持って対応することができます。これにより、訪問看護ステーションや医療機関の電話対応がさらに効率的になり、業務全体のスムーズな運営をサポートします。
このように「転送録」は、転送電話機能の不便さを解消し、連携システムの効率化を実現することができます。
4. まとめ

訪問診療のニーズは高まる一方で、24時間体制で対応する診療所や訪問看護ステーションは、マンパワーの不足が懸念されています。利用者からの緊急コールに細やかに対応するためには、訪問看護ステーションと医師や看護師がスムーズに連携できるシステム構築が急務です。
クラウドサービスの「転送録」を導入することで、オンコール体制の電話転送の課題を解決できます。緊急コールがあった際に、連絡を受けた医師や看護師が速やかに折り返し対応できることは、地域の患者さんやご家族にとって大きな安心につながります。利用者にとって満足度の高い医療サービスを提供するため、また、医療従事者の心身の負担を軽減するためにも、電話転送の効率化を実現するシステムの導入をぜひご検討ください。
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